友方=Hの垂れ流し ホーム

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いや光ってはいないが光を受けて輝いていて、というのは丸い膨らみが上から射す光によってだが、見る角度によってはその輝きもいくらか減じるものの総じて輝いて見えるそれが、艶(つや)やかな丸い膨らみがこちらを待ち構えているようで、この手に触れられるのを待ち焦がれているようで、まあそれは言いすぎとしてもその硬く突起した部分に、これまでにもさまざまな指先によって触れられただろうそこに、若いのや年取ったのや乾いたのや湿ったのや太いのや細いのや丸いのや尖ったのや男のや女のや、そうしたことはあまり想像したくないが手垢に塗れたその部分に指先を添えて反応を見ながら軽く押さえてゆくと沈み込んでゆき、その途端電気が走って痺れたように、いや痺れないがそれでも電気は走って、感度よく反応することに満足を覚えつつ向こうの出方を窺えば、いくらか艶やかさには欠けるものの迎え入れることを諾(うべな)う、なかへと誘う、そうした声が、次いでそこは開かれ、というのは自らそれを開いて迎え入れる女に迎え入れられてなかへ、そこへは何度も迎え入れられているが迎え入れられるたびに親密さの増してゆくなかへ、とにかく自ら押し広げてよく見えるように奥まで見えるように、そうして目で促すのに従ってなかへ、さらにその奥へ、前からのこともあれば後ろからのこともあるそこはいつも暗くじめじめしているがそれでも温もりのある空間と言ってよく、回を重ねるごとに馴染んでゆくというか、フィットしてくる心地よさに一体感も弥増さり、いつまでも浸っていたいとそう思いながらいつまでも腰を据えたまま動かずにいると、下から見上げるようにしてあるいは上から見下ろすふうにしてこちらを、いずれにせよ何かを訴え掛けるような眼差しでこちらを、それに応えるべくこちらも、五十八五十九六十と数えたりはしないが一緒に、ふたりのそれは共同作業なわけだしどちらがやる気をなくしてもうまく行かないので、途中で失速したときの惨状たるやそれはもう、だから呼吸を合わせてフィニッシュへ向かって何ごとも手順通りに、まあ手順といってもその都度微妙に異なるのだが、だから呼吸を合わせるのだが、それでも馴れたものでてきぱきと熟(こな)してゆく動きに無駄はなく、たとえ無駄があったとしてもそれはそれとして咀嚼し嚥下され、密着したり離れたりしながらも互いに敏感に反応し、こちらが出したものはあちらが受けとめあちらが出したものはこちらが受けとめて、つまり互いに出し合い互いに受けとめ合って、そうしてすべてを味わい尽して冷めないうちに食べ尽し飲み尽して満ち足りた気分になると横になってしばらくは、眠ることはないがしばらくは、片づけは後廻しとしばらくは、たゆたうように微睡みの手前をしばらくは、滾(たぎ)っていたものが萎(しぼ)んでゆく過程を色褪せた眼差しで眺めやりながら、そのうち澱んでいた空気が揺らいで、というのはカーテンが、モーターの回転による吸気と排気によってひとつの流れが、それによって少しずつ入れ替わってゆくのを目にすることはできないが感じ取ることはでき、というのはカーテンが、その波打ち翻る様子にしばし見入っていると今度は影が、こちらからあちらへあちらからこちらへ幾度となく影が、だから余計に攪拌されて見えるものも見えなくなるというか見えないものが見えてくるというか、いや見えないものは見えないのだが、見えるものしか見えないのだが、だから見えているものを見ているのだが、その見えているものが見えるものなのか否か、知覚と認識とは符合しているのかそれとも齟齬を来しているのか、もちろん符合していると信じたいが齟齬を来しているということも、とはいえいったい何が見えているのか、というか何を見ているのか、もちろん女をだが、あちらからこちらへこちらからあちらへ移動をくり返す姿に目を奪われてしばらくは、あるときには何かを手にしている様子なのにまたあるときには何も手にしていない様子で、いずれも同じ人物に違いないがその変化のめまぐるしさに事態の推移を正しく見極めることが、というか事態が推移しているとは如何なる意味に於いてか、抑も事態は推移しているのか、そしてこの場合の事態とは何を指しているのか、こちらからあちらへあちらからこちらへめまぐるしく、ではないにせよ思惟を巡らせながら四囲を、というのは女を、その歩くさまをそのかがみ込む様子をその立ちあがる姿を、それらがどんな順序で為されているのかを、あるいは足を揃えて折り曲げた膝を床につき、そして尻が踵に密着するという流れを、またその逆を、というのは床から膝を浮かせてから折り曲げた膝を伸ばしてゆくという流れを、つまり立ったり坐ったりをくり返しているらしく、それによって空気の流れが少しく掻き乱されてこちらのほうへも風が、横になってその風を受けながら尚しばらくは、眠ることはないもののその兆しはあって、というのは疲れているからで、ありもしないイメージを弄ぶのはだからもう、つまり影には暇を願うことにして改めて横になると目を、上の瞼を下の瞼へと近づけてゆき、そうすることでうるさく飛び廻っている影を黙らせることができるのだが、そうして闇と静寂とに包まれてゆくわけなのだが、といって完全な闇と完全な静寂というわけには行かないが、というのも何かのモーターの響きが絶えずどこかでしているからで、他の音が軽減されてもその分だけモーターの響きが増すというか際立つというか、隔たりがなくなって少しく距離が縮まり、つまりそれだけ気配も濃厚になる道理で、寝息とともにくっきりと、形あるものとしてこの手に触れられるものとして仄青く輝きながら、とはいえそれを確かめるには再び瞼を、閉じられているそれを今一度、しかしそうするとまたありもしないイメージが現前することになりはしないか、散々翻弄されたのにまだ懲りないのかそれとも、いやむしろ見ないほうが見えるというか見ないからこそ見えるというか、だから余計なものを遮断する意味でも瞼は、上と下とをぴったりと隙間もなく、そうすることで見えてくるものを、あるいはそうすることでしか見えてこないものをこそ、いずれにせよ瞼は、つまり耳から事態は開(ひら)けてゆくことに、それをしも事態と言ってよければだが、微かな息遣いとともに耳から、手元にそれを手繰り寄せて押し広げるというか展開させるというか、いつものように寝乱れた様子もなく横たわっている姿を穏やかな寝息とともに、吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いてをいつまでも、吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いてをほぼ一定のリズムで、そうして簡素な箱に吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いてが瀰漫してゆくのを耳で、それだけを捉えようと耳が、とはいえ何かのモーターの音が吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いての合間に割り込んでくるためうまく捉えることが、吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いてを耳で捉えることが、ならばいっそのこと目を、と思わないでもないが今しばらくは耳を、吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いてに寄り添わせ、ひとつに重ね合わせるように吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて、そうしてひとつに重なり合ったら、重なり合ったとしての話だが、重なり合ったとしたらそのときは、とそう思ううちにも吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いてのリズムが、それまで規則的だと思っていたのが少しずつ、何の兆しか知らないが、何の兆しでもないかもしれないが少しずつ、だから重なり合うことはなく、むしろそのズレは拡がってゆくばかりで、吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いては尚止むことがないにせよ噛み合うことはもう、いやいつかは、でも今は、とにかく箱一杯に吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて、妙(たえ)なる調べか何かのように吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて、吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて吸って吐いて寝乱れた様子もなく吸って吐いて吸って吐いて、吸って吐いて、吸って吐いて、吸って、吐いて、吸って、吐いて、吸って、吐いて、吸って、吐いて、吸って、吐いて、すって、はいて、すって、はいて、すって、はいて、すって、はいて、すって、はいて、吸って、はいて、すって、吐いて、吸って、吐いて、吸って、はいて、すって、吐いて吸って、吐いて吸って、吐いて、吸って、吐いて吸って吐いて、吸って吐いて吸って、吐いて吸って吐いて、吸って吐いて吸って、吐いて吸って吐いて吸って、吐いて吸って吐いて吸って、吐いて、吸って、いつかは、でも今は、吐いて、吸って吐いて、吸って吐いて、それは四囲に、それとも思惟に。

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