昭和大正浪漫
2005年12月03日
参加した同人誌が正式発表となったので、こちらでも告知させて頂く。その名も帝都畫報。
B5版136頁・表紙フルカラー(参加者17名)
テーマ:昭和大正浪漫
12月30日(金)東地区 東4ホール レ-32b
「紳士が野獣」創作ジャンル(楠本弘樹氏個人サークル)
興味のある方はご一読下さるとありがたい。尚、通販もされるそうなので、遠方の方もご購読下さると嬉しい。
上記テーマの通り、昭和初期を舞台にして描いたわけだが、昭和という時代に少なからず関心がありながら、いざ描いてみるとなかなか雰囲気が出ないものだ。自分なりに消化したつもりだが、傍から見てちゃんとしているか否かは正直分からない。それでもいろいろと得るものはあり、機会があればまた描いてみたいとも思う。
というのも、人物はまだいいとして、下図にも明らかなように背景が全然描けず、一点そこに悔いが残っているからで、久々のマンガでペンの特性を掴みきれなかったということを考慮に入れても納得のゆく出来とは言いがたいのだ。もし次の機会があるとするなら、もう少し背景の密度を上げたいと思った次第。
因みにマンガの背景としてここまでの密度は不要だろうが、このレベルに達したいとは思う。→日本職人名工会/杉山八郎ギャラリー
補足─現時点で二カ所、セリフの誤記が見つかった。まだ他にもあるかもしれない……
送る。
2005年11月26日
長らく描いていた冬コミ用の漫画がようやっと終わった。十六枚と枚数は少ないながら時間配分が分からなくて結構焦ったりもした。下描きまではハイペースだったがペン入れに入った途端にペースダウンして、一次はどうなることかと思ったが、どうにか間に合った。あとは送れば仕舞いと封筒を用意したものの、そのまま入れたのでは容易く折れてしまいそうで、何だか頼りない。何か手頃な厚紙等ないかと探したら紙パレット(油彩やアクリル絵の具などに使う、日捲りのカレンダーみたいにその都度剥がして使うパレット)使用後の台紙が取ってあり、大きさも手頃だったので原稿サイズにカットして入れることにした。ほかにアクリル板もあって、強度的にはそのほうが安心なのだが、封筒に入らぬサイズで切るのが手間だからそれは止した。で、その台紙を二枚用意して原稿をサンドし、ビニール袋に入れて口をテープで塞いだ。これで濡れても大丈夫だとそれを持って郵便局へ向かったのだった。
因みに台紙一枚だと500g以内で390円なのだが、二枚にすると500gを越えてしまって580円になる。とはいえ、ここでケチって折れたり折られたりしたら元も子もないので二枚で挟むことにした。
郵便局へ行くと、辺りは妙に閑散と静まり返って人影もなく、訝りつつも入口のほうへ向かうが中へは入れなかった。シャッターが下りていたのだ。その日はちょう23日で、祭日で休みだということを完全に失念していたのだ。ポストに投函すればいいようなものだが、窓口へ出そうと思っていたため切手を貼っておらず、結局その日は出せずにしまった。
翌日出向いたが、やはりシャッターは下りていて、中へは入れないのだった。そんなはずはないとしばらくウロウロしていたら不意にシャッターが上がって中から手招きする人がある。制服を着ているから局員らしいが、身なりはひどくだらしなく、袖口や襟元に垢染みた生活感を漂わせ、全体薄汚れている。薄暗い屋内に立つ男の表情は読み取れず、一歩踏み込んで覗き込もうとするとその間合いを察してか局員はスイと身を翻し、窓口の向こう側へ回って億劫そうに席に着いてこちらをじっと見据える。封筒を差しだすと丁寧に受け取り、サイズを測り重量を量り、何やら計算している。その手際の良さに張り詰めていたものが解れてゆき、柔らかい息がひとつふたつ漏れる。局員は低い小さな咳払いをひとつすると、42,000円になりますと言う。
解れたとみえた空気がまた凝り固まり、首傾げつつ局員を窺うと42,000円になりますと再度言う。その確信を込めた眼差しにはこちらをたじろがせる強さがあり、あるいは価格改定されたのでもあうかと考えるが42,000円とは法外な値で、どんな無法な改定がなされてもそんな値段になるはずがない。郵便でなくとも送る方法はあると封筒を取ろうとすると一旦受け付けたものは返せぬとその局員は言う。だからといって4万も払えるわけがなかろうと迫るとすでに荷は発送されたと奥を指差し、見ると沢山の荷を積んだトラックが鈴なりに走ってゆくのが窓越しに窺え、それでもまだ間に合うかもしれぬと窓口を乗り越えてトラックのほうへ向かおうとすると後頭部に衝撃が走り、惰性で二、三歩進みはしたものの痛みと眩暈でそれ以上進むことは叶わず、頭を抱えて踞るとともに視野が狭まり意識が遠退いてゆく。オレの原稿、返せ、オレの。何かそんなようなことを頻りに訴えていたようだが、鈍い痛みに呻く声にいつかそれは掻き消え、定まらぬ視界の隅のほう、濃緑の制服の足がこちらへ揺らめき向かってくるのを微かに認めるが、いつまで経っても近づく気配はなく、いやむしろ遠離りゆくようだとそんなこを思ううちに意識は途切れた。
原稿が無事に届いたか否か、それは知らない。
何を買うのか
2005年10月29日
連日マンガを描く日々だが、ベタに使う筆がケバケバというか、インクを吸うと先が割れてしまってどうにも描けなくなった。一遍に線が三本も四本も引けてしまい、それでも広い面を塗るにはさして困らないが髪の毛なんかには全然使えないのだ。以前は面相筆を使っていたのだがいい加減毛が少なくなってたので、それは捨ててこないだ買ってきたばっかの新しい筆なのにもかかわらず。よほど粗悪な品かといえば決してそんなことはなく、取りたてて高級なものではないにしてもごくごく普通の水彩筆だ。それがさして使ってもいないのにすぐ割れてしまった。面相筆のほうがよかったのか? あるいは墨汁じゃなくてマンガ用インクだから筆に悪いのかもしれない。
とにかく新しいのを買いに行った。そのついでに本屋へ寄り、以下を購入。
『此処彼処』川上弘美(日本経済新聞社 ISBN4-532-16537-7)
『決定版カムイ伝全集【第一部】1』白土三平(小学館 ISBN4-09-187851-2)
『決定版カムイ伝全集【第一部】2』白土三平(小学館 ISBN4-09-187852-0)
『カズン1』いくえみ綾(祥伝社 ISBN4-396-76368-9)
川上弘美は好きで、大概読んでいる。『龍宮』とかのガチガチの純文学系が好きなのだが、その手のものは最近少ないようで、今も『古道具 中野商店』を読んでいるが、これも軽いタッチの、キャラが前面に出てるような小説だ。『センセイの鞄』が受けたこともあってそっち系の依頼が多いのかもしれないが、個人的にはもっとわけの分からないものを書いてほしい。
白土三平は気にはなっていたもののずっと敬遠していた(何せ長いので)。決定版、単行本未収録作ありとの謳い文句に乗せられてか読んでみようという気になり、ほとんど勢いで買ってしまった。とはいえ一冊1,260円はちと高い。全38巻で47,880円にもなる! それでも文学全集などに較べたら安いものだ。
いくえみ綾は全然知らないのだが、たまたま平積みの表紙が眼にとまり、いい感じだったので購入。思っていたより絵は下手だった。ビニール包装されているから中身を確認せずに買わざるを得ないマンガのことで仕方ない。尤も言えば確認させてはくれるだろうが、それで買わぬのも何だか気が引けるし。読んでみたらしかしそれなりに面白い。なんてことない話なのだが。さえないフリーター女子(ちょデブ)が恋に目覚めて奮起し、変わってゆくみたいな。要約したら身も蓋もないほどあり触れた内容だが、面白さは別なところにあるわけだ。
因みに現在未読の書籍は以下の通り。
『さようなら、私の本よ!』大江健三郎
『神聖喜劇』一〜五『深淵』上・下『縮図・インコ道理教』大西巨人
『モーダルな事象』奥泉 光
『多情多恨』尾崎紅葉
『六〇〇〇度の愛』鹿島田真希
『卵一個分のお祝い。』川上弘美
『カギ』清水博子
『金比羅』笙野頼子
『椿説弓張月』上・中・下 曲亭馬琴
『あらくれ』徳田秋声
『忿翁』『野川』古井由吉
『そこでゆっくりと死んでいきたい気持をそそる場所』松浦寿輝
『ドグラ・マグラ』夢野久作
『バースト・ゾーン』吉村萬壱
『母』高行健(ガオ・シンジエン)
『フランドルへの道』クロード・シモン
『ワット』『モロイ』『マロウンは死ぬ』『名づけえぬもの』サミュエル・ベケット
『特性のない男』2・3 ロベルト・ムージル
『精神現象学』上・下 ヘーゲル
『デカルト的省察』エドムント・フッサール
『哲学者とその影』『知覚の現象学』1・2 メルロ-ポンティ
『ドイツ・イデオロギー』マルクス
『ドイツ悲哀劇の根源』ヴァルター・ベンヤミン
『論理哲学論考』ヴィトゲンシュタイン
『哲学とは何か』ジル・ドゥルーズ
『フロイトの技法論』上・下『自我論』上・下 ジャック・ラカン
『性の歴史』1〜3、『真理のディスクール』ミシェル・フーコー
『ユリシーズグラモフォン』『滞留』『有限責任会社』『友愛のポリティックス』1・2『パッション』『フィシュ』『コーラ プラトンの場』『アデュ』ジャック・デリダ
『法華経』上・中・下