「ホラ行くよ。も何してんの!」
「えとあの、首輪が。首輪がどっか、行っちゃって。アレおかしいなあ、確かここに」
「何よもう。行くの行かないの、どっちなのっ」
「行きます行きます、でもほら首輪が、まずいでしょ、ないと。いや別に僕は何もしませんよ、ご覧の通り、大人しいモンです。でも世間はそうも、ねえ。知りません? 首輪」
「あたしが知るわけないでしょ。行くならさっさと探す。三分だけ待ったげる」
そんな無茶な、そんな無茶なと吠えながら慌ただしく部屋の中を探しまわり、女が秒読みをはじめるころに見つけだし、銜え戻る。
「何あたしにつけろっての?」悪態つきながらも女は首輪をつけてやる。案外その行為を好んでいるからで、主人と奴隷、そんなふうに思いながら女は鼻先でふふんと微かに笑む。
「じゃ行くよ」
「ハイ」
「ハイじゃないでしょう」
「…」
「返事は?」
「ワン」
「聞こえない」
「ワォン」