Effluents from Tomokata=H

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前回までのあらすじ

膣内の異物感に目醒めた恵美は身悶え、動くたびに快感を齎すその疼きが治まると自ら発光する卵を産み落とした。功次⇔恵美⇔徳雄先生という三角形を念頭して、三人の遺伝子が絡み合ってできたのだと思いその着想に満足するが、安直だと親友の紀子は呆れてしまう。

翌日仕事を終えた恵美が雑貨屋で購った桐箱に卵を納めると、誂えたようにそれはぴったりで、これは真のメシアに違いないとひとり何度も呟いた。程なく真円球形の卵を崇拝対象とし、それから孵った子が真のメシアなのだとする宗教団体とのコミットを恵美は紀子に奨められ、迷ったすえに受け入れる。

そんななか恵美は過労で倒れ、自室で横になると縋るように卵を手に取る。薄闇の中に拡がるその淡い光に包まれると嘘のように不安が消し飛び楽になり、護符のように卵を胸に抱えたまま眠りに就いた。翌日何ごともなかったように全快したのを恵美は卵の霊験のように思い、卵を祀るための神棚を購入する。

そこに卵を据え置くと内から発する光が一段と増したように思え、その絶大な慈愛に包まれて恵美は眠りに就いたが、翌々日、卵が割れてしまっているらしいのに気づいて愕然とする。すぐにしかし割れたのではなく孵ったのだと分かって不安から一転して恵美は笑いだす。体長十センチほどのそれはヒトに似た胎児だった。その発光する小さな胎児を恵美は天使のようだと思い、不意に脳裡に卵温存の闇組織=『神聖卵教会』という構図が浮かぶ。

紀子の提案で「知恵美」と命名すると、知恵美は自ら天皇と豪語して現天皇の廃位抹殺を宣言する。あまりの飛躍に恵美は絶句するが、知恵美を守護するには『神聖卵教会』の助力が必要と結論する。

折しも徳雄先生と功次との三角関係が露見して二人ともに恵美は愛想を尽かされて落胆するが「知恵美がいるからだいじょぶ」と知恵美への依存をさらにも深めていく。

教団本部に紀子とともに恵美は訪れ、応対に出た幹部の八木に知恵美を見せると、しばし考えた末、八木は教祖日下を呼びだす。いくらか懐疑的な雰囲気の中、知恵美の不意の発話に二人の態度が一変し、一般信者とは別扱いとの待遇を得る。その一足飛びの出世に恵美も紀子も恐縮するが、引き返しようもない深部にまで来てしまったとの不安も拭えない。

それでも教祖の威厳とかカリスマなど微塵も感じさせない日下からは確かに危険思想の欠片も見出せないし、その気さくな小商人風な腰の低さに徐々に緊張が解れていくのを感じもする。信用するには至らないが下手に利用される気遣いもないと紀子は高を括るが、知恵美の世話は恵美と紀子の責任において行い、教団側はこれに一切関与しないということを絶対条件として提示することを決めて一応の善後策を講じる。

毎週日曜日に開かれるというセミナーはフリーセックスを第一義に掲げる教団の集まりとも思えぬ町内会の集まりめいた和やかさで、事前の説明の通り何事もなく進められ、終盤になって臨時報告との形で知恵美をメシアの顕現として公表する。高々と掲げられた知恵美の淡い光を浴びて皆驚き、年寄りらのひとりが「メシア様」と呟くと皆口々に連呼して「メシア様」の大唱和になり、満場一致で知恵美は『神聖卵教会』のメシアと認定される。

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